先月開催しました特別展「南部鉄器展 -受け継がれる技と美-」(2024/3/3~3/23)
特別展「南部鉄器展」は2020年度・2022年度に続いて3回目の開催となり、今回は南部鉄器協同組合に所属する職人20名による計31点(48種)の作品が集まりました。
今回、新たな取り組みとして観覧者による作品投票(※最大3点まで)を実施。これは実際に鉄器を使用するお客様から率直に評価していただきたいという南部鉄器協同組合・職人の皆様の希望でもありました。
総投票数1,646票!たくさんの投票・コメントをありがとうございます。
それでは観覧者作品投票トップ3を発表いたします。
◆第3位「糸目文末広釜」87票 H17㎝×W24㎝
制作者:十五代鈴木盛久 志衣子(鈴木盛久工房)、東京都出身
特別展・作品紹介コメントより
櫛目文・糸目文など縦筋の文様の作品を作ってきましたが、この茶の湯釜は無地の部分と糸目の部分の変化を表現してみたいと制作したものです。
【観覧者からのコメント(※原文ママ)】
・小宇宙を見るような日用の美がありました。
・パッ!とみただけで好き!と思う形
◆同第3位「尻張鉄瓶蔓豆」 鉉含高H16.5㎝・H8.5㎝・W11㎝
制作者:髙橋大益(鉄瓶工房髙橋)、岩手県矢巾町出身
特別展・作品紹介コメントより
鉉(つる)の根元から蔓(つる)がひょろり。尻が大きいので安定感があります。
【観覧者からのコメント(※原文ママ)】
・小振りだけとシルエット、鉉、注口のバランスが美しい。
・マットな質感と洗練された形状がとても素敵だなと思いました。小振りなのに重厚感もある不思議な作品だなと思いました。
◆第2位「鉄瓶 唐草椿」91票 鉉含高H24㎝・H16㎝・W18㎝
制作:宮田康矢(タヤマスタジオ)、岩手県大船渡市出身
特別展・作品紹介コメントより
津波被害を受けた街に椿が咲き誇る様子を表現しました。
【観覧者からのコメント(※原文ママ)】
・実際の被災した半島・岬を羽にしたのは驚きでした。図面といっしょに展示してくれてよかったです。
・制作図面の中に街の名前があり、地域と作品の結びつきや作品に込められた思いが強く感じられました。
・唐草の優雅さと震災の復興への祈りが伝わったのがよかった。
◆第1位「布団型鉄瓶 シマエナガ」120票 鉉含高H16.5㎝・H7.9㎝・W12.8㎝
制作:畠山拓巳(薫山工房)、岩手県盛岡市出身
制作者である畠山拓巳氏からコメントをいただいています。
「30点を超える作品の中から投票結果1位を頂き光栄に思います。若手からベテランまで優れた南部鉄器作品が多く並ぶ中で選ばれたことは自信にもなりますし、成長を感じることができました。投票してくださった皆様ありがとうございます。
この作品はクラシックな布団型を意識して制作しました。蓋の摘みは冬のふっくらとしたシマエナガをイメージしています。
伝統的な形にプラスして摘みの意匠に遊び心を加えることで可愛らしさを表現しています。
今後も基本を大切にして、使う人が喜んでくれるような南部鉄器を制作していきたいと思います。よろしくお願いします。」
【観覧者からのコメント(原文ママ)】
・本体とツマミの形状のマッチ感が良いと感じました。
・かわいらしいものをデザインされて、シマエナガ一目ぼれしました。こんなにたくさんのアレンジがあることを知りませんでした。
・シマエナガはふっくらしていてかわいいし、使いやすそうだからです。
作品を出品してくださった職人の皆様、多方面に渡りご協力いただいた南部鉄器協同組合様、そしてご来場・投票に参加してくださった皆様にこの場を借りて改めて御礼を申し上げます。特別展へのご意見や感想を参考にさせていただき、2024年度もよりパワーアップした特別展「南部鉄器展」を開催できるよう尽力してまいりますのでお楽しみに!
担当学芸員:小西治子